あの白昼の遭遇事件からアレキサンダーが現れなくなっていた。
寒の戻りで2月の陽気だとかで、そのせいかとも思ったが、面白がって正体を激写しちゃったので、無礼を怒ったかあるいは不覚を恥じたかで、二度とこの家には戻らないと決意したのだろうか。
そう危惧していたら、本来の陽気になった一昨日、久々に姿を見せた。 ☞
例によって、じっと辛抱強くじっと獲物を待つ。
しばらくしてもう一度目をやると、窓の上段から最下段に移っている。
お、獲物が見つかったか。…だが、なんだか様子が変だ。足が地に…じゃなかった、ガラスに着いてないぞ。え、もしかして墜落したの? 守宮もガラスから落ちる、か?
だが、みるみる体が、尻尾がしお垂れてくる。え、えっ、アレキサンダー、死んじゃったの?!
ガラス窓に絡まった蔦の枝に引っかかったまま、アレキサンダーは往生をとげたようだった。最後の力をふりしぼって狩りに出かけ、力尽きたのだ。野生の生き物ってこういう風に死ぬんだなあ。…老雄、ここに眠る。成仏しろよ…。
だが、我が家の守り手がいなくなっては困るではないか。
そう思っていたら、今日、ここしばらく登場しなかったエリザベスの姿が。
君ももう婆さんかもしれないけど、よろしく頼みますぜ。