‘顔学会’の‘美人画研究会’に参加。
‘顔学会’は、コンピュータ工学、歯学、心理学、美容・化粧、解剖学、芸術等々のジャンルが学際的に集まった会。1999年の国立科学博物館での「大顔展」を見て以来、興味を惹かれていた。
誰でも会員になれるとはいえ、なかなか敷居が高い気がしていたけれど、このなかに‘美人画研究会’というサークルが。 ☞
これなら、なんとかなるかな、と参加させてもらった。
(終了後は近くの居酒屋での呑み会も…!)
第1部は、尚美学園大学の斎藤忍氏のPhotoshopによる"美人加工"実演講義。
老婆があれよあれよと若返る。コンピュータ・グラフィック畏るべし!
第2部は、小野小町についての“共同研究”。
小町について調べ、描いた絵を持ち寄る、という宿題。
うーむ。
そこで、人形の写真でお茶を濁す、という裏技に出る。
ま、「り」は小町っぽく見えなくもないし…。
幸い顰蹙を買うこともなく、好意的に受け止めてもらえたようす。ほっ。
しかし、小野小町は百人一首の“花の色は…”くらいしか知らない、守備範囲外のひとだったけれど、一夜漬けであれこれ調べただけでも、ずいぶん興味を惹かれた。
まず、なにより、古今和歌集の18首のうた(小町を巡る確かな資料というのは完全にこれだけだ)が、素晴らしい。同じ六歌仙といわれるなかでも、在原業平はともかく、文屋康秀、僧正遍照、喜撰法師、大伴黒主などとはレベルが違うのではないか。
うたのすがたの美しさ、といい、本邦初と思われる手法・発想の斬新さ(掛詞や“あはれ”の概念化)、うたの奥行きの深さ。
想像力を掻きたてられるうたの深みに加え、残された18首以外にほとんど手掛りがない、という神秘性が相俟って、根も葉もない‘小町伝説’が膨れ上がっていったのだろう。(明らかに後世の作である100首を優に超える‘小町集’、落魄伝説が様々なヴァリエーションを広げる‘小町草子’、‘卒都婆小町’などの能楽…。)
実像がよく見えてこないという歌人は少なからずいるが、小野小町ほどにあれこれの虚像が膨れ上がって騙られた人物はいない。それはひとえに小町のうたの深さに因るものだろう。
☛ 一夜漬け 「小町MEMO」もどうぞ