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酔っぱらい

 芙蓉が咲き始めた。

 夏の庭をにぎわそうと園芸業者から取り寄せたのだが、毎年9月半ばにならないと咲き始めない。

 ところが今年はめずらしく夏らしいうちに咲いてくれた。

 しかも例年なら、地上数10センチのところで剪定したのがみるみる高く伸びて、花は1階のリビングからはまったく見えないほどの高さに咲く。 ☞

 それが今年は1階どまりの高さにおさまって、花も手頃なところに咲いている。

 

 

 朝白かった花は、天気がよければ昼にはうっすらと赤みを帯びてくる。

 

 

 夕方にはさらに赤く。

 酔っ払っているようだというので‘酔芙蓉’と呼ばれる。

 

  宵にはもうしぼんでしまう。

 それでも、翌朝にはいくつもの新しい花を咲かせる。はかない花なのか、たくましい花なのか。

 

                      ゆふまぐ 

   酔芙蓉たれたづねゆく夕目暮れ

 

   酔芙蓉逢魔が刻に溶けゆきぬ