
井上尚弥の先月31日(日本11/1)ラスベガス世界戦を観る。7ラウンドKO勝ち。どこまで強いんだ、この男は。
スピード、パワー、戦い方の引き出しの多さ、それを情況に応じて自在に使い分ける賢さ、勇気、メンタルの強さ…。
完全なボクサー。

6RのKOシーン。
マロニーの左ジャブに合わせたカウンター。
マロニーのパンチはあと数センチで井上に届いている。それより一瞬速く、井上の左フックがガードの下をかいくぐって顎をとらえる。
あまりに速い、コンパクトなパンチなので、スローでなければ、なぜマロニーが倒れたのか、まったく分からない。

7R、フィニッシュ。
マロニーのワンツーに合わせた、完璧なカウンター。
マロニーの1発目は井上の頬にかすかに触っているようにも見えるが、それをかわしてものの見事に右ストレートが炸裂。
解説の山中慎介が6Rのときに感嘆していたが、いずれのカウンターも2発目のパンチに合わせているのだ。
1発目なら反射神経とか直観で当てることもあるだろうが、2発目に合わせられるのは、完全に相手のパンチを読み切っているからだ。だから、1発目を見切ってかわし、2発目へのカウンターが決まる。
ぐちゃぐちゃした判定でなく、あまりに完璧に負かされるので、相手は彼を讃えるしかない。
マロニーは翌日のインタビューで“井上のことは最大限にリスペクトしている。井上と同じリンクで戦えたことは名誉だったし、この機会に感謝している”と語った。