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箸にも箆にも ―

 

 

 何十年ぶりかに箸を買いなおした。

 普段使いの箸には妙なこだわりがあって、なかなか意に沿うようなものが見つからなかったのですね。   ☞

 

 こだわりというのは、材質とか重さとかもあるけど、まず、面や角が丸められてないこと。まあ、ふつうのやつは手にやさしくというのか、面が少し丸みを帯びてますね。あれがいや。

 安価なものには丸みのないのもあるけど、材質がヤワなので、すぐ劣化しそう。

 やっと、まずまずのものが見つかった。

 

 後継者が見つからないまま使い続けられた先代はもはや悲惨としかいいようのない様で、片方の先端は削れたのか短くなってしまって長さがちぐはぐ。頭のほうもなんだか朽ちたみたいになってきているし反りも出てきている…

 というわけで、まぁ、K点を越えちゃったみたいではあった。

 でもたしかこの箸は京都のどこだかで買いもとめた。それ以来何十年か苦楽を共にした(?)箸ではないか。お役目ごめん、ということでさっさとゴミ箱に直行、というのはなんとも恩情に欠ける冷酷な仕打ちというものであろう。

 

 ということで、削って箆に仕立て直しました。材はなんだかわからないけど、けっこう密な木質で立派に箆として活躍してくれるにちがいない。

 めでたしめでたし。