
藤黄(とうおう)はインド、ミャンマーから沖縄にも分布するオトギリソウ科のフクギから採れる。樹皮に螺旋状の傷をつけてゴム状の樹脂を採取するとか。皿に溜めて固めたもののほか棒状にしたものもあるようだ。ガンボージともいう。
以前使い残したものと未使用のものを試し塗りしてみる。微妙に色味が違う。これはこれで使い分けるとおもしろいかも。

藤黄をつかったのは‘福’をつくったときだったと思い出した。
身のほど知らずにも、伝統的な生き人形の手法に挑戦した。桐塑で全身をつくり、胡粉を塗る。
肌色は胡粉に弁柄、松煙墨、石黄を加えてボタン刷毛(実際は歯ブラシ)と金網を使って‘撒き塗り’をする。(野口晴朗「人形の伝統技法」による)
ただし、ここで‘石黄’というのは‘雌黄’ともいわれる鉱物由来の顔料で砒素を含むため、今はまず入手できない。そこで当時から使われていた藤黄で代用したのだった。
でも、人形の家やかつて市松人形館にあった福松人形は、どう見ても撒き塗りではなさそうだ。(人形の家の福松は畏るべきことに縮緬状の肌で人間の人肌を再現している。市松人形館の方はきれいに磨き上げられていた。)
楮紙に藤黄を刷く。くすんだ黄のところどころにすこし鮮やかなほうの黄を置く。
ガラス戸に貼って実際の見え方をたしかめる。まあまあかな…。
ストックの楮紙がなくなってきた。たしかずいぶん前(ン十年前?)に神保町の山形屋でもとめたはず。れっきとした手漉きだ。今もあるといいな。高くなっていそうだけど…。
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