テニスコートへの道沿いに咲く曼珠沙華。
季節ごとにこのあたりの農家の人がさまざまな花を楽しませてくれる。
日本の曼珠沙華は球根が分球して繁殖してきたので、遺伝的にはクローン。なので同じ時期に一斉に咲く。 ☞
この球根は有毒。しかし飢饉には水にさらして毒を抜き救荒食としたとか。
墓地などによくみられるせいか、彼岸を見計らったように唐突に咲いてあっという間に消えるためか、あるいは毒々しいとも見える鮮烈な赤色のせいか、不穏な別名がいくつもある。
葬式花、墓花、死人花、地獄花、幽霊花、蛇花、剃刀花、狐花、捨て子花、火事花、燈籠花、天蓋花 …
しかしもともとはサンスクリットのmanjusakaに由来する語で、“天上の花”という意味もあるようだ。(山口百恵の「曼珠沙華」が‘マンジューシャカ’なのはこれに拠っているのですね。阿木燿子、さすが!)
美智子上皇后の皇后時代のうた
彼岸花咲ける間の道をゆく行き極まれば母に会ふらし
平成8年のうた。母堂はこの8年前に亡くなっている。
遡って9月22日。気温31℃。
まだ蕾の曼珠沙華。
眼帯の内なる眼にも曼珠沙華 西東三鬼
曼珠沙華咲けば悲願のごとく折る 橋本多佳子
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天あをしこの世あの世の彼岸花